狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅣ―ⅱ カイとアレスの武器Ⅱ
「…くっそぉっっ!!痛いってぇーっ!!」
木刀を握りしめながら脳天にブラストの一撃をくらったカイが、涙を目に溜めながら頭を押さえしゃがみこんでいた。
「んっ!?なんだカイッ!!相変わらずいいのは威勢だけか!?」
いつかと真逆の立場となった教官のブラストは、声高らかに満面の笑みで見習い剣士のカイを諌(いさ)めている。
それからブラストへ反撃とばかりに繰り出したカイのめちゃくちゃな木刀捌きを目にしたダルドは…
「……」
沈黙のあと小さく呟いた。
「…キュリオ王、まさか彼…?」
「あぁ、彼の名前はカイ。今はまだ小さな力だが、私は彼に期待しているんだ」
「…まだ剣も扱えない子供に…」
ダルドの言葉に笑みを浮かべたキュリオはカイとブラストのやり取りを楽しそうに見守っている。
「私が必要としてるのは剣の腕だけじゃない。彼の瞳が宿してる強い輝きなのさ」