狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅣ―ⅲ カイとアレスの武器Ⅲ
ブラストに軽く木刀を払われ、転びそうになりながらも負けずに立ち向かう見習い剣士のカイ。
しかしダルドはよく見るこの光景に騙されたりはしない。彼の銀色の瞳はカイの心を見透かすようにじっと見続けている。
「…どうだいダルド。カイは君のお眼鏡に叶っただろうか?」
「……僕が決めることじゃないから」
渋々承知といった様子の彼はため息交じりの言葉を吐き出すと、腰に巻きつけてある使い慣れたバッグへと手を差し入れた。
やや白みがかった水晶のような鉱物をひとつ取り出し、肩から下げていた分厚い魔道書のひもを解く。
ダルドが魔道書の表紙へと手をかざすと…無風の中、ペラペラと捲られていく魔道書のページ。
ちょうど半ばに差し掛かったところで、一枚のページが淡く光を放っている事に気が付く。彼は迷いなくその部分を開き、小さく頷いた。