狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅣ―ⅴ カイとアレスの武器Ⅴ
キュリオに案内され、鍛錬に勤しむ剣士の間をふたりは優雅に歩いて行った。
すると…この場にいるはずのない主(あるじ)を視界にとらえた剣士たちは…
「キュ、キュリオ様だっ!!なぜここに…っ!?」
「後ろにおられるあの…お方の耳は、聖獣か…?」
「…誰を訪ねて来られたんだろう…」
大勢の剣士たちが固唾をのんで見守る中、偉大な彼らは迷うことなく奥へと進んでいく。
「いいかカイッ!!お前の動きは一直線過ぎるんだ!!たまには違う手で来てみろっ!!」
「…ッンガッ!!」
前のめりに転んでしまったカイは悲惨な声をあげて激しく顎を打ち付けている。
そして…倒れた彼の目の前に差し出された白く美しい手。
「…ん?さ、さんきゅー…?」
普段、鍛錬中の彼に手を差し伸べる者など誰もおらず…カイは不思議そうにその手を掴みながらゆっくり立ち上がった。