狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅣ―ⅵ カイとアレスの武器Ⅵ
「頑張っているようだねカイ。あまり痛むようならあとで魔導師に診てもらいなさい」
と、穏やかな言葉が頭上に降りてきて…
「…え?」
(こ、この声…)
はっと顔を上げたカイは咄嗟にキュリオの手を離し、今度は勢いよく尻もちをついてしまった。
すると今度は不機嫌そうな言葉と視線がカイの体を突き刺していく。
「…君にはその木刀がお似合いだ。キュリオ王、今ならまだ別の者にする事は可能です。…今一度お考え直しを」
ダルドの言葉にふっと笑みを浮かべたキュリオは小さく首を振り、彼を窘(たしな)める。
「いや、変更はなしだ。それに…彼はまだまだこれからの子だよ。
最初から何でも完璧にこなせるようでは…その先が心配だとは思わないかい?」
「……」
キュリオの言葉に口を閉ざしたダルドはそれでも納得がいかないようにカイをきつく睨んでいる。
「あ、あの…キュリオ様…?カイがまた何か不手際を…」
木刀を腰に収めたブラストが心配そうにキュリオへと近づき、頭を下げるような動作を見せた。
「違うよブラスト。皆には明日の朝知らせようと思ったのだけどね…カイとアレスには私の傍で長期的な任務に就いてもらう事にしたんだ」