狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅣ―ⅶ カイとアレスの武器Ⅶ
「…長期的な任務…ですか?」
教官のブラストは心配そうにカイへと視線をうつした。見習い剣士の彼が任務に就くということは剣の腕はもちろんの事、その小さな肩に大きな責任を背負うことになるのだ。
「…お言葉ですがキュリオ様、彼のほかにも適任者は多くいると思われます。もしくはこのブラストが…」
言いかけた彼の言葉を遮るようにキュリオは片手でそれを制した。
「彼以外の適任者はいないと思っている。私がもし聞くとしたら…あとはカイの意志だけなんだ」
声色を下げ、有無を言わせぬキュリオの眼差しに貫かれたブラストは額に汗をかきながら深く頭を下げた。
「…もっ、申し訳ございませんっ!!」
「ブラスト、君の心配はわかるが…そんなに堅苦しいものではないんだよ?どうかなカイ」
「…えっ!?えっと…」
二人のやりとりを見ていたカイはキュリオに名前を呼ばれ、はっと我に返る。