狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅣ―ⅷ カイとアレスの武器Ⅷ
(エデン王が言っていた…任されて一人前じゃない、やり遂げてこそ…)
「…お、俺っ!!やってみたい!!自分にしか出来ねぇ事…絶対やり遂げてみせるっっ!!」
キラキラと瞳を輝かせ、キュリオの前で姿勢を正した幼い日のカイ。
その様子に頷いた銀髪の王は満足そうに右手を伸ばした。
「あぁ、きっと君ならやり遂げられるさ。よろしく頼む」
「はいっっ!!」
固く握手を交わした二人の間でダルドは小さくため息をついている。ようやくダルドの気配に気が付いたブラストは…
「…ダルド様まで…」
これ以上にない一流の鍛冶屋(スィデラス)をキュリオが連れているという事は…何者かが昇格、もしくは重要な任務に就くことを表している。
「…もしや、カイの任務というのはキュリオ様の護衛でありますか…?」
「……」
恐れ多くもキュリオに質問を申し出たブラストだが、それは彼の微笑みをもって沈黙を返されてしまう。
(…キュリオ様がおはなしにならないという事は…ここでは言えない内容か…)
「出過ぎた真似を…申し訳ございません」
深く頭を下げたブラストだが、キュリオはそんな彼に一歩近づき…耳元で囁いた。
『今夜食事が終わったら…ガーラントと君に話がある。私の執務室に来ておくれ』