狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅤ―ⅱ キュリオとダルドの出会いⅡ
「…こんなっ…意味もない、…僕のいのちなんて…」
歩き疲れたダルドは、大粒の涙を零し…とうとう大きな木の根元に腰をおろしてしまった。
今の彼の心には…ただ辛い…苦しいという言葉ばかりが黒い渦を巻き、次々に溢れていく。
そして…完全に生きる気力を失ったダルドの気高い耳は力なく垂れ下がり、生命に満ち溢れた聖獣とは思えないほど…その美しい肢体からは徐々に熱が奪われていった。
「…もう…歩けない…」
小さく膝を抱え、絶望に顔を伏せた彼の耳には…無常な暗い雨の音だけが響いていた―――