狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅤ―ⅷ キュリオとダルドの出会いⅧ
振り返ったダルドは背後にいるキュリオの胸元を力いっぱい押し、彼の姿を猟師(キニゴス)たちから隠そうと必死に体を張っている。
…だが、細身のキュリオの体はビクリとも動かない。そして…懸命なダルドの手を彼は優しく握りしめた。
「怖がらなくていい。君は私の後ろへ」
「…な、なにをっ…」
穏やかなキュリオの眼差しに驚き、目を見開いたダルドだが…不思議なことに心はどんどん落ち着きを取り戻していく。
そしてキュリオに握られていた手が離れ、彼は猟師(キニゴス)とダルドの間に堂々と立ちはだかった。
「…あ?なんだ?綺麗な兄ちゃん」
武器など持たぬ丸腰のキュリオの姿を訝しげに見つめた正面の男。彼の背にある真っ白な翼は、変わった装飾だと思い込んでいるようだ。