狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅤ―ⅹ キュリオとダルドの出会いⅩ
「それとも何だ…この森の動物たちが役人に通報するとでも思ったか!?人間様の目さえなけりゃバレる事はねぇんだよっ!!」
すると隣にいた別の男は、彼の言葉が合図かのようにゆっくり弓を構える。
そしてその狙う先は紛れもなくキュリオだ。
「…っ!よ、よせっっ!!このお方は…っ!!!」
驚愕し声を上げた先程の男の顔は激しく引き攣(つ)り全身を震わせていたが…それでも彼は必死に弓を構えた猟師(キニゴス)の腕を強く払った。
…しかし…それと同時に放たれた無常な矢は、冷たい森の風を切り裂き…真っ直ぐキュリオへと向けて速度をあげていく…
「…キュリオッ!!」
キュリオの大きな背に隠れ、彼らの様子をうかがっていたダルドが悲鳴にも似た声が響いた―――――