狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅥ―ⅳ キュリオとダルドの出会いⅣ
キュリオは自身の肩にかけていた美しいストールをダルドの体にかけてやる。
そしてそれは雨に濡れていたものの、ふわりと彼の優しい香りとぬくもりが感じられ…ダルドの冷え切った心と体を優しく包んでいく。
「風邪をひいてはいけないね。ここは彼らに任せて先に帰ろう」
そう言うキュリオは家臣のひとりを呼び寄せ、言葉を受け取った男は深く一礼し職務へと戻っていった。
「…空を移動しようと思うのだが、高い場所…君は平気かい?」
振り返ったキュリオに問われ、ダルドは雨の降り続く暗い空を見上げる。
「僕は…晴れた日の悠久の空が好きだ…」
「だから…キュリオの瞳を見ていれば高いところも怖くない」