狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅥ―ⅹ キュリオとダルドの出会いⅩ
「君、彼を客室へ案内してくれるかい?」
女官の後方に待機している一人の侍女へキュリオは声をかけ、なるべくダルドを刺激せぬようこの場から遠ざけることに決めた。
「はいっ!」
タタッと進み出た彼女は満面の笑みでダルドに一礼したが、ダルドはまるで…すがりつくように寂しげな瞳で訴えてくる。
「い、いやだ…っ、…キュリオと離れたくない…っ…」
「…ダルド、君が怯える理由はわかっている。
しかし、これから色々理解してもらたい事があるんだ」
「…り、理解…?」
「あぁ。だから私を信じてくれたように、ここにいる者たちを信じてもらえないだろうか?」
(キュリオを信じたように…皆を…)