狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

XXXⅦ―ⅰ 姿を消したダルドⅠ



ダルドが湯殿に入ってから…すでに一刻が過ぎようとしていた。
そしてキュリオの力により浄化された湯のため、体の汚れを落とす手間などは不要だとあらかじめ伝えていたのだ。



(もしかしてお着替えに戸惑っていらっしゃるのかしら…)



心配した侍女は意を決して扉をノックしてみる。





―――コンコン





「失礼いたしますダルド様。…何かお手伝いできる事はありますか?」



「……」



客室に設置された湯殿の外から声をかけた侍女だが、しばらく待ってもダルドからの返事はかえってこない。



「…?」



聞こえてくるのは止めどなく流続ける美しいオブジェからの湯の音のみだ。





「…ダルド様?開けますよ?」





―――ガチャ…






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