狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅧ 不思議な声
こうして再び手を取り合ったキュリオとダルド。
二人で戻った悠久の城では、待ちわびていたあらゆるキュリオの従者たちが笑顔で出迎えてくれた。
「おかえりなさいませダルド様っ!」
「お体が冷えてしまったでしょう?ささ、もう一度湯殿へご案内いたしますわ!!」
「…う、うん…」
恥ずかしそうに躊躇うダルドの肩へ優しく手を乗せたキュリオ。
「君は何かやりたいことが見つかったと言ったね。私たちにも手伝わせてくれないだろうか」
キュリオはあえて"私たち"と告げた。
それはこの城にいる者すべてが彼の味方であることをわからせるために言った言葉だった。
「…っ…」
周りを見渡したダルドの瞳には安堵の涙が零れ…それから家臣たちの剣や槍を見ても怯える事はなくなっていった―――