狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆アオイの適職?そのⅦ
「…っっ!?」
凝視したままピタリと硬直して動けなくなったアオイ。銀髪の長い髪を後ろで束ね、白のスーツを見事に着こなした彼は…
「…お、おとっ…」
「ん?どうしたアオイ、アランってやつ…弟にでも似てんのか?」
立ち止まったアオイの腕を引きながらシュウは後方窓側の席へと彼女を座らせ、自分はその右側の席へと着いた。
(アラン先生って…!?どこをどうみてもあれは…)
ダラダラと汗をかきながら机を見つめ続けるアオイ。
『おい、本当に大丈夫か?』
シュウが心配そうに小声で話しかけてくる。
『う、うん…ごめん何でもない…』
そう言いながら、自称・アラン先生を盗み見するアオイ。
「……」
自称・アラン先生はこちらを見つめて穏やかな笑みを浮かべているが…彼の綺麗な瞳は全く笑っていない。これは身内だからこそわかるキュリオの明らかな苛立ちによるものなのだ。
『ねぇねぇアオイ!さっきからアラン先生アオイのことばっかり見てない?』
アオイの前に座る女子がウィンクしながら耳打ちしてきた。
『き、気のせいだと思う…あっ!遅刻してきたから怒ってる…とかかなぁ?…ははっ…』
『えーっマジで!?あんなかっこいい先生に気にしてもらえるなら…私も明日、遅刻してこよっかなーっ!!』
と、もはや小声ではないヒソヒソ話に…自己紹介を続けるアラン先生の声が響いた。
「はい、アオイさん。私に何か質問があるようですね?答えられる範囲でお答えいたしますので、どうぞ?」
にこりと目を細めたアラン。その一瞬の微笑みにすら女子たちの黄色い悲鳴があがる。
「えっ!?」
(…質問あるなんて私言ってない…)
意地悪そうに笑みを浮かべるアランを見ればわかる。確実にからかわれていると実感したアオイだが、あまりにも突然で質問したいことが思い浮かばない。