狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

✿ショートストーリー☆アオイの適職?そのⅧ


『アオイ、先生に彼女いるか聞いてみて!』


周囲の女子から熱いまなざしを受け、アオイはしぶしぶ口を開いた。


「あの…、アラン先生は…彼女います…か…?」


すると…


「おいシュウ!いいのか?!
未来の嫁がアラン先生を誘惑してやがるぜ!!」


おもしろおかしく囃(はや)し立てる男子。

と、言葉を受けたシュウはつまらなさそうにため息をつき…


「俺たちはもうキスも済ませてるからな。あいつが入る余地なんてこれっぽっちもねぇよ」


「…シュウ!?」


思いがけない偽りの言葉にアオイの顔はどんどん青ざめていく。そして再び色めき立つクラスメイトたち。


そして何より怖い自称・アランの視線。


「へぇ…二人はもう口付を済ませているのですか…」


腕組みをして不機嫌さを隠せずにいる彼の眉間はみるみる深い皺が刻まれ、アオイの背は嫌な予感に温度を下げていく。


「ねぇっ!アランセンセー!彼女いるのぉ?」


話が進まなくなってしまった事に苛立つ、ばっちりメイクを決めた数名の女子がアランに猫なで声で語りかける。


と、言葉を受けたアランはアオイから視線を逸らさず…


「いるとも…やや浮気性の恋人が…ね」


「…っっ!!」


(お父様、絶対怒ってる…っどうしよう…)


(こっ、…怖い…っっ!!)


ビクリと肩を震わせ…逃げ場を失ったアオイ。
辺りから響く女子たちの「いやあああっ!!」という声など耳に入るわけもなく…


「すごく家に帰りたくない…っ…」


と思わずつぶやいてしまったのだった。


「…いいぜ?俺んち泊まれば?」


真っ直ぐな視線でそう語りかけるシュウにドキッと鼓動が高鳴るのがわかり…アオイの心は激しく乱れていくのだった―――




< 457 / 871 >

この作品をシェア

pagetop