狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆アオイの適職?そのⅩⅤ
「…少しおしゃべりが過ぎたようです。私もあなたも授業に戻らなくてはいけませんからね…手当を急ぎます」
「…っはい…」
ションボリと肩を落とし、俯いてしまった彼女。
センスイの言葉はこれ以上会話を良しとしない拒絶を秘めた冷たいものだったからだ。
「……」
「……」
それから二人は一言も言葉を交わすことなく、ただ沈黙だけが流れた。
(どうしよう…何かしゃべらなきゃ)
包帯を手にしたセンスイを見て、手当も最終段階なのだと気付いたアオイ。
「あの、センスイ先生…っ…」
この重苦しい空気の中、勇気を振り絞ったであろう彼女が近距離で私の名を呼んだ。
「…なんでしょう」
包帯を巻き終わると私は表情を変えぬまま彼女の隣へと腰をおろす。
「あ…ありがとうございました」
気の利いた言葉が思いつかず、アオイはとりあえず手当の礼を述べるしかない。
しかし…
「どういたしまして」
授業に戻らなくてはいけないと言いながらも、アオイをじっと見つめたまま動こうとしないセンスイ。
いつまでたっても父親であるキュリオにさえ、見つめられることに慣れていないアオイはドキリと鼓動を高鳴らせ腰を浮かせた。
「せっ!!先生のおかげで痛みもだいぶ引きましたし…クラスの皆も待ってると思うのでそろそろ…」
すると…センスイの手が伸びて、そのままアオイの手首をつかみ…もう一度ベッドへと引き戻されてしまう。
「センスイ…せんせい?」