狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆アオイの適職?そのⅩⅩⅤ
「あちゃー…これじゃあ楽しくおしゃべりってわけにもいかないか…」
ガックリと項垂れるミキ。
(ミキかわいそう…)
(…そうだっ!!)
「ねぇミキ、この状況じゃ三時限目は無理だけどさ、ランチのお誘いしてみたら?」
「はっ!!それはナイスかもしれないっっ!!さっすがアオイ!!」
「わわっミキ!」
ぎゅっとミキに抱き着かれ、恥ずかしそうに頬を染めているアオイ。
「ってことでアオイよろしく!」
「ん?」
ガシッと肩を掴まれ、目を輝かせているミキと頭上に"?"が浮かんでいるアオイ。
「アオイが誘いやすいほうでいいよっ!!」
「へ…?」
「おいミキ…てめぇ、いい加減に…」
飽きれたシュウがアオイからミキを引きはがそうと彼女の腕に手をかける…と、その時。
「アオイさん…君のお父様からお弁当を預かっている。あとで届けようと思うのだが…昼は空いているね?」
「アラン先生…」
いつの間にか目の前に立っていたアラン。そして言われて気が付いた。
(そういえば私、今日お弁当忘れて…)
『アオイ!チャンス!!そのままランチ一緒にいかがですか?よっ!!』
ミキが興奮したようにアオイの背中を押した。
チラリと自称・アランの顔を盗み見るアオイ。
("昼は空いているね?"ってもう命令口調だよ…それにお父様から預かったって…悠久の王様がお弁当届けに来るわけが…)
(ごめん…ミキ)
「私、今日はカレーパンの気分なんです。アラン先生、良かったら私のお弁当かわりに食べて下さい」
「えーっ!!アオイなんで!?」
もはや小声ではなくなってしまったミキの声は茶室中に響いてしまった。
すると…
「アオイ、作った者の気持ちを無駄にしてはならない。四時限目が終わったら下のカフェで待っていなさい」
「え?いまアオイって…」
「またアオイ?なんで…?」
驚きの顔を見せたのはミキだけではない。
自称・アランが公言したその言葉を誰もが聞き、はやくも二人の関係に疑いの眼差しを向けている。
「は、はい…アラン先生」
そして当のアオイも、キュリオに言われている感が否めずに…つい、いつものように頷いてしまう。
別の話題にザワついてしまい、突然…的の中心になってしまったアランとアオイ。
すると…アオイの傍にひとりの青年が近づいてきた。
「"横抱きにして連れてくるなど…普通の神経では考えられない事だ"の言葉をそのままお返しいたします」
「あなたの発言で彼女の立場が悪くなることを理解されたほうがいい」
戸惑う彼女の肩を抱き、クラスメイトたちの視線から庇うように立ちふさがったセンスイだった―――