狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅴ―ⅲ 柔らかな気配
キュリオは眉間に皺を寄せ、彼女がひとり泣いていたであろう時に気が付いてやれなかったことを悔やんだ。だが、そんな心配をよそに彼女はにこやかな笑顔を向けてくる。
「…ああ、お前はまだ眠っていていいんだよ?
と言っても、目が覚めてしまったかな」
小さな体を抱き上げてベッドから身を起こす。すると昨夜に温めておいたミルクのボトルが放置されているのが目にはいった。
(おなかを壊してしまうといけないな。作り直してこよう)
キュリオは一度、枕を背にして彼女の体を寄りかからせる。
きょとんとして大人しくしているその姿はとても可愛らしく、まるでお人形のようだ。
「おなごは育てやすいと噂に聞いたことはあるが…これほどまでなのだろうか…」