狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆アオイの適職?そのLⅡ
しかし…
激しい金属音の中、血の匂いはおろか…地面に叩きつけられた人影さえも見あたらない。
ようやく目を開いたアオイはひどい焦燥感の後…ガクガクと震えだしていく。
「ぁ…あぁ…そ、んな…っ…」
神剣の本当の力を知らないアオイでさえ、その刃を受けた者の末路がどうであるかなど容易に察しがつく。
―――肉体の蒸発…―――
骨さえも残らないであろう、最悪の結末を想像した彼女の目には大粒の涙が溢れていった。
「センスイ、先生…っ!!」
悲痛な声を上げ、彼が元居た場所へと駆け寄るアオイ。
…すると、
「はい?アオイさん」
「…え…」
やがて見えたセンスイは変わらずにこやかな表情を崩さぬまま…かと言ってその場から移動した様子もなくこちらに向けて手を振っている。
大きく目を見開いたアオイの中では喜びよりも驚きが勝り、その場に立ち尽くしてしまった。
そして違う事と言えば…
アランの神剣を受けたであろう長身の黒い人影が二人の間に割って入っており、彼の手にも光輝く美しい剣が握られているという事実だった―――