狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆アオイの適職?そのXCⅥ
不思議に思いながらも手早く着替え、包帯を手に二階へ下るキュリオ。
(アオイは怪我をしていない…誰かが持ち込んだものなのか…?)
心当たりのない彼は人の気配に気づかず歩き続ける。
「おはようございますキュリオ様」
「…?あぁ…おはよう。早いなガーラント」
古びた杖をつき、年老いているが溌剌(はつらつ)としたにこやかな表情を浮かべ、歩いてくる大魔導師。
そして珍しく反応が遅れた銀髪の王。
「…何か悩み事でもおありですかな?」
「いや、なんでもないよ」
「…ふむ。しかし…年寄は眠りが浅くてどうもいかんですなっ!!」
それ以上続けようとしないキュリオの性格を深く理解しているガーラントは突如声を上げ、思い出したように笑い始めた。
「おや?眠れないのかい?」
「いやいや!キュリオ様のご心配を賜るほどではないのですが、昨夜は誠にもったいないことをしたとっ!このガーラント一生の不覚!!」
大魔導師の彼は心底悔しそうに片手で顔を覆っている。
「どういうことだい?」
「…む、そのご様子ですとキュリオ様の耳にはまだ届いておられませんかな?」
「あぁ、まだ目覚めてからアオイとしか顔を合わせてないからね」
「それもそうですなっ!儂の話は、精霊王の事でございます!」
「精霊王?…エクシスがなんだって?」