狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆アオイの適職?そのXCⅦ
「はいっ!その精霊王が昨晩悠久を訪れていたらしいのですじゃっ!!」
興奮冷めやらぬガーラントは鼻息を荒く、両手の拳を力強く握りしめている。
「起きておれば、その御姿を拝見出来たかと思うと…っ!!儂は悔しゅうて悔しゅうて…っっ!!」
「そういう事か」
小さく笑ったキュリオだが、ガーラントはまだ何か言いたそうに王の横顔を見つめている。
「…キュリオ様はその時、眠っておられましたかな?」
「あぁ、彼の気配に気づかなかったという事は…私は完全に眠りに落ちていたのだと思うよ。もちろんアオイもね」
「…っならば夢は見られましたか?」
意味深な言葉を口にした大魔導師へと向き直り、思わず立ち止まったキュリオ。
「夢?なぜそんなことが気になるんだい?」
「…千年王の精霊の能力のひとつですじゃ…」
「彼は過去と未来、双方を夢から現実に引き出す事が出来る唯一の人物だと言われております。過去、または未来に強き想いがある人物ほど…その影響を受けやすいとも聞きますゆえ…キュリオ様や姫様はいかがなものかと…」
「そういえば…生れ出た歴代の千年王の能力、国によってそれぞれ違うものだったな…」
「…おっしゃるとおり。やっかいなのが精霊王と…」
「…雷の王だったか」
わずかな胸騒ぎを覚え、包帯を強く握りしめたキュリオの表情は…これから起こる未来を暗示するかのように、暗く重いものだった―――。