狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのⅣ
「朝を迎えず…永遠の夜をお前と彷徨えるのなら…私は……」
妖艶に光るキュリオの空色の瞳が、淡い花びらのようなアオイの唇を捕らえて離さない。そして徐々に近づく彼の端整な顔。やがて彼の瞳は深く煙るような蒼色へと変化し…
「…私からお前を奪おうとする者は決して許さない。例えそれが君の意志であったとしても…ね」
穢れを知らぬ彼女の唇を貪りたい衝動を懸命に押さえながら、キュリオはそっとアオイの額へと己の唇を押し当てている。
―――アオイとセンスイ…
急激に縮まり始めた二人の距離にキュリオは危機感さえ覚えていた。彼女がこの年になるまで年の近いアレスやカイ、そして眉目秀麗なダルド。今までアオイの傍に男がいなかったわけではない。
しかし、悠久の王・キュリオを父親に持つ彼女は…その後ろ立てに彼がいる限り、他の男には近づいてくることも…声をかけることすら出来ないだろう。
(アオイを守るためにしてきた事が裏目にでたな…)
幼い頃…とある女神一族の末裔に襲われて以来、キュリオは彼女の存在をなるべく口外しないよう心がけていた。悠久の民を疑うわけではないが、それ以上にアオイの存在が…天秤に架けられるものなどない程に愛しくてたまらない。
「それゆえ…学園の生徒や教師たちは遠慮という言葉を知らぬ…」
(アランとして学園に潜入し、見えないものがやっと見えた…)
何かとアオイに関わりたがるヴァンパイアのハーフであるシュウに、世話焼きだが…センスイやアランへの興味が一向に絶えないミキ。
「…新しい友を得たお前の行動を無理に制限しようとすれば、たちまち私は嫌われてしまうだろうね」
「ならば…」
「アオイが私から離れられなく原因を作ってしまえばいい…」