狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅵ 危険な存在
―――自分を落ち着けるように深呼吸しながら彼は扉をノックした。
「キュリオ様、おはようございます!」
やや大きめの声を掛けるが…
「……」
内側からの返事はない。
キュリオの起床時間を考えればすでに二刻以上遅いはずだ。
「まさか…キュリオ様…」
ふと不吉なことを想像してしまった彼は居ても立ってもいられず、ノブへと手をかけ力いっぱい扉を開いた。
「失礼いたしますぞっ!」
飛び込むように駆けこんだ先に見えたものは…
真っ白な上質の衣に身を包み、ベッドに横たわる王の姿だった――――