狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのⅩⅤ
「…アラン先生…?」
意味深な言葉を口にしたアランの意図が把握できずアオイは反応に戸惑っている様子だった。
「や、やだなぁ先生…それじゃヴァンパイアの事言ってるみたいじゃないですかーっ!」
場の空気を読んだミキが努めて明るく振舞うと…
「おや?君にはそう聞こえたかい?」
「え…?」
ふっと口元を緩めたアランだが、その瞳は決して笑っていない。
「で、でも…悠久にはキュリオ様がいるし…ヴァンパイアなんてやっつけてくれます…よね?」
ミキにでも怖い者があるらしい。すっかり青ざめてアオイの後ろに隠れようとしている。
「……」
アランの言葉に黙ったままのアオイをミキが不思議そうに見つめた。
「アオイ、…アンタ怖くないの?」
「…どうして?」
「ど、どうしてって…っだって…人を襲うんだよ!?」
「うん…でも…私たちも食事しなきゃ生きていけない。彼らの食事が人の血と肉なら…私、少しならあげられるかもって…」
「アオイ…」
シュウは信じられないと言った様子でアオイを見つめ、やがてその顔は嬉しそうに和らぎ、そして…彼の頬を涙が伝った。
すると…
「…そういう事は冗談でも言ってはならないよ。アオイさん」
グッと拳を握りしめたアランが忌々しく顔を歪めている。