狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのⅩⅨ
―――その頃、調理室では…
「昨日今日就任したての副担任が…俺らの何を知ってるってんだよっ!!」
心の内を見透かされたシュウは激昂したようにアランへと掴みかかる。
(居場所のない俺がアオイに甘えてるのはわかる…けど…)
「…優しさを利用してるってのは聞き捨てならねぇぜっ!!」
「その薄汚れた手で私に触らないでくれたまえ」
パシッと乾いた音が響き、アランを掴んでいたシュウの両手が軽く弾かれてしまった。
と、そこへバタバタと戻ってきたミキの声が響く。
「ごめんごめん!おっまたせーっ!二時限目が始まったらシーザーサラダでも作っちゃおうっか!アオイの勉強にもなるし!」
「…気がそがれたな…」
シュウの背後で無言のまま俯くアオイを一瞥し、ミキの横を通り過ぎようとするアランにミキが声をかけた。
「…あれ?アラン先生どこに行くんですか?」
「私はどうやら気分が優れないようだ。二時限目は別の教師に担当してもらうことにするよ」
「えっ!?ちょっと…アラン先生っ!?」
身に纏っていたエプロンを脱ぎ、早々に立ち去ってしまったアラン。教室から戻ってきたあの女子生徒たちはこの時ばかりは安堵に胸を撫で下ろし、他の生徒たちは激しい落胆ぶりを見せた。そして代打で現れたキリュウが拒絶されたのはいうまでもなかったのだった。