狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのⅩⅩⅨ
早めの湯浴みを終えたキュリオはバスローブを纏い再びソファへと腰をおろした。
彼はまだ水気の残った長い銀髪をかき上げ、ガーラントの置いて行った小瓶を光に透かして見つめている。
「いくらガーラントが生成したものとはいえ…得体の知れぬものをアオイに飲ませるわけにはいかないな」
立ち上がったキュリオは部屋の隅にある机の引き出しを開け、その小瓶を仕舞おうと試みた。が…
(ならば…私が口にすれば良い話なのか?)
「もし、これでアオイを引き留める原因が作れるのなら…」
キュッと蓋を開き、迷わず薬を口に含んだキュリオ。
―――ゴク…
綺麗な喉元を魔法薬が流れ落ち、瓶の蓋を閉めた彼は小瓶を引き出しの奥へと仕舞い込む。
(…味も香りもない…完全な魔法薬か)
薬草と魔法を融合させて作られる魔法薬もあり、それの特徴は薬草独特の色や香り、味がついているのですぐにわかる。
「そういえば…具体的な効果も持続時間も聞いていなかったな」
今のところ、体の異常は感じられない。即効性がないものなのか、ただ心理的に作用するものなのかも不明なのだ。とりあえず過度な期待はせず、キュリオは愛読書を手にソファへと足を向けたのだった。