狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのⅩⅩⅩ
「……」
颯爽と馬を駆るティーダの腕の中、じっとしているアオイは困り果てたように彼の顔を見上げている。
(ティーダ様があのティーダ様なら…お父様に合わせちゃいけない気がする…)
「…俺に見とれてるならキスをすると言ったはずだぞ」
ティーダは前を向いたままだが、アオイがどこを見ているか一目瞭然の様子だった。
「そ、それは…っ困ります…」
またも顔を背けたアオイにティーダの強い眼差しが降り注ぐ。
「お前…その唇、まだ誰にも捧げていないだろうな」
「…唇?ですか?」
(…唇って、きっとキスしたかどうかって事よね…)
「た、たぶん…まだ、だと思います?」
「…なんで疑問形なんだよ」
疑いの視線を浴びせられ、アオイは居心地悪く身動きをした。
「はっきり言え。…したのかしてねぇのか聞いてるだけだろ」
強い口調で捲し立てられ、ムッとしたアオイは反撃に出た。
「…ど、どうして言わなきゃいけないんですかっ!?そんな乙女の事情を貴方に説明する必要は…っ…」
「もういい」
今度はあっさりと引き下がった彼にアオイの何かが弾け飛んだ。
「…なっ!?ティーダ様から聞いておいてその態度はなんですっっ!?」
ジタバタと両手足を動かしたアオイは、恥ずかしさと怒りに暴れはじめた。
「おいこら!大人しくしろ!!…お前の態度でわかったからもういいって言ったんだ!」
「…へ?」
彼の声を聞き、ピタリと動きを止めたアオイ。すると…