狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅵ―ⅱ 警戒心
彼女を見ていると、知らず知らずに顔をほころばせてしまう自分がいて…
それが心地よくもあり怖くもあった。
(…間違いなく私はこの子に依存し始めている)
そんなことを考えているキュリオの耳に大臣の声が響いた。
「なりませんぞキュリオ様!!
その赤子は悠久の民ではないのかもしれないのです!!」
ピタリと手を止めたキュリオは驚いたように振り返り、彼の顔をじっと見つめた。
「今…なんと?」
キュリオは怒るかもしれない。だが一度調査で出てしまった結果は、覆る事実がなければそれが真実となるのだ。
「先程でた調査結果で、悠久には不明者も含めそのような赤子はいないことがわかりました。ですから…」
心配する大臣の言葉が最後まで終わる前にキュリオがゆっくり口を開いた。
「ならば他の国にも伝達し、早急に調査の依頼をすればよい。私はこれから執務室へいく」