狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのⅩⅩⅩⅧ
―――ズキン…
「…っ…!!」
(…な、なに?今の…)
突如膝の辺りに鈍い痛みが走り、アオイは堪らずきつく瞳を閉じてしまった。
「…アオイ?」
辛そうなアオイの表情を目にし、わずかに驚いたキュリオは彼女の頬を優しく撫でる。
「なんだか急に膝が痛みだして…」
ズキズキと痛みのおさまらない両膝に戸惑ったアオイは左腕で胸を隠したまま身じろぎした。
「…どこかに打ち付けてしまったという事は?」
この時ばかりはさすがに父親の優しさを垣間見せたキュリオだが、彼のバスローブはその大半が脱げ、すでに半裸状態になっている。
「…お、お父様っ…色々見えています…っ…!!」
カァッと真っ赤に染まったアオイを見て、キュリオは優しく微笑んだ。
「ふふっ今さら隠さなくてもいいだろう?それより今は膝の具合が心配だ。綺麗な体に傷が残ってしまってはいけない」
「あ…はい…」
適当にバスローブを整えたキュリオは一度アオイから離れ、上半身を起こした彼女の両膝へと視線を落としている。
やがて…
「……」
無言のまま白い何かを取り出したキュリオ。
(…お父様が手にしているのは包帯…?)
ではなかった。
「アオイ…小さな嘘は可愛いが、私に心配をかけるような嘘をついたら…」
「…え?」
(…どうして?何もなっていない…)
確かに痛みを感じたアオイは信じられないといった様子で両膝を見つめてみるが、どこをどうみてもかすり傷ひとつ負っていなかった。
「それ相応の罰を与えなくては…ね?」
キュリオが握る真っ白なそれは…彼の腰に巻かれていたバスローブの紐だった―――。