狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのXL
背後からさらに強く抱きしめられ、今度は右耳の下に甘い痛みが走った。
「痛っ…」
思わず身を固くしたアオイだが、キュリオの腕が緩むことはない。…やがて耳元からチュッと音が響き、つっぱり感のような痛みが徐々に和らいでいく。
―――ドクン…
「…(なに…これ…)」
しかし…痛みが引いた後も脈動するかのように疼き、その場所には新たな熱が生まれ始めている。
「…痛いかい?今、お前の白い肌に綺麗なバラが咲いているよ」
「バラ…?」
キュリオの言葉に窓ガラスをチラリと見たアオイ。彼のいう"バラ"がキスマークである事を理解するまでに数秒とかからなかった。
「い、いや…お父様…わたしは…っ…」
(…わたしは…)
己の言葉が反芻し、アオイの中で静かな湖面に石が投げ込まれたように波紋が広がっていく。
(…なに?思い出せない…)
モヤモヤとした意識を抱え、身じろぎしたアオイはキュリオの腕から逃れようと小さな抵抗を見せる。
「困った子だね…反抗期か?」
語尾を強めたキュリオの手がいよいよ動き、アオイの細い両手首を片手でひねり上げた。
「や、やめ…っ…!!」