狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅵ―ⅲ 警戒心?
そういうとぴったりくっついて眠っている幼子の体を抱き上げ、ベッドの脇にかけられたストールを手に立ち上がる。するとキュリオに抱き上げられた振動で目を覚ました赤ん坊は、定まらない焦点で彼の顔を見上げた。
「…ぅ、」
寝惚けているような声をあげ、ゆっくり瞬きを繰り返す幼子にキュリオは優しく微笑む。
「起こして悪かったね、私と一緒に来てくれるかい?」
そう囁かれると、パチリと目覚めたように瞳を丸くしキラキラとした眼差しを向けてくる。
「きゃーぁっ」
幼子の楽し気な笑い声が上がると、頷いたキュリオは颯爽と部屋を出ていく。
彼らのあまりにも自然な動作に大臣は一瞬、我を忘れて二人をほのぼのと見守ってしまう。
そして部屋に取り残されたことに気が付くと…
「ハッ!お、お待ちくだされ!キュリオ様!!」
と、慌てて部屋と出ていくのだった――――