狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのXLⅥ
そして、向かい側に腰をおろした彼は春の日差しのような笑みを浮かべ、
「それではまず、自己紹介と行こうか。私の名は…」
「…っ!!な、なぜセシエル様が名乗らなくてはならないのですっ!?名乗るのは私とこの者だけで済むのではないですかっ!?」
「…っ!!」
(いけないっ!私ったら…っ…!!)
幼いキュリオにそう叱られ、怯えたアオイは大慌てで立ち上がり"セシエル様"に頭を下げた。
「"セシエル様"!申し訳ございませんっ!!お初にお目にかかります!私はアオイと申しますっっ!!」
そしてアオイの懸命な謝罪にも似た挨拶に小さなキュリオはため息をついた。
「…私の名はキュリオだ。今後口は慎むのだぞ!アオイ」
「は、はいっ!」
幼いキュリオに圧倒され、状況が把握できないまま頷くしかないアオイ。
「セシエル様、どうやら悪意があって入り込んだ者ではないようなのですが…純白のドレスに銀の刺繍など…まるで…」
「ふふっ、彼女は間違いなくこの色を纏う資格がある」
「え…?」
驚いたのはアオイよりもキュリオのほうだった。
「彼女は私の"いい人"になった…と言えば理解してもらえるかい?キュリオ」
「……なっ…!!」
「とりあえずキュリオ、お茶をお願いできるかな?」
ニコリと笑った"セシエル様"はそう言って、顔を赤らめている幼い彼に紅茶を淹れるよう指示し、部屋を退出させる。
そして、二人きりになった事を確認したアオイは慌てて口を開いた。
「あ、あの、"セシエル様"…わたし…」
「…こうでも言わなければキュリオは君を認めようとしないからね。あの子は少し柔軟さを身につけなくてはいけないんだ。これからの悠久を支えて行くためにも…」
「…もしかして貴方は…」
「あぁ、私は悠久の王セシエルだ。…今のところ五大国・第一位の王とだけ言っておこうか?」