狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのXLⅦ
ふふっと笑った彼の瞳は悠久にあふれる優しい新緑の若葉の色を宿している。
(やっぱり…このお方は王様なんだ。私の推測が間違いなければ、きっとお父様の前の代の王様だわ…)
しかし、彼の言い方に引っかかるものがある。
「セシエル様、今のところ…というのは?」
「…そうだね。君は何か知っているようだけど…それなら尚の事、話してもいいかもしれないね」
「…(なんだろう、セシエル様のお顔を見ていると胸が痛い)…」
「もうすぐ私の代は終わりを告げる。そして恐らく…他の複数の王も、交代の時期が近づいている」
「それは…五大国の王様が一斉に変わってしまうということですか?」
王に成りたての者たちだけで構成された世界を考えると、少し戸惑いや不安な部分が残る。果たしてそのような事が今までにもあったのだろうか…。
(でも…王様に選ばれるような偉大な方たちだもの。そういう事はないのかもしれない…)
「いや、ただ一人…彼だけは残るだろう」
遠くを見つめるように窓の外へと視線を向けたセシエル。
「…彼?」