狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのL
(…これが五大国・第一位の王様の力…)
「私も…セシエル様の事が知りたいです」
(この悠久を見ていればわかる…底知れぬ彼の心の美しさ…)
「ありがとうアオイさん…そう言って頂けてとても嬉しい。私には家族と呼べるものも…心の内を話せる相手もいない寂しい人間なんだ」
「あ…」
(そっか、王様の寿命はとても長くて…共に生きる人たちの生と死からは逃れられない存在。王であるが故の孤独…)
かつてキュリオが陥った大きな障害は間違いなくこの偉大な王の心にも影を落としていた。
「その…セシエル様はお作りにならないのですか?家族とか、恋人とか…」
変な意味はないが、キュリオがそうしたように…もし家族、或いは恋人がいれば、彼自身の幸せが訪れるのではないかと考えたアオイ。
「…いや、そんなものを感じた相手は今まで誰一人現れなかった。だから…君という女性と出会えたのが奇跡といえる。本当にキュリオが羨ましい…」
「…え?」
寂しそうに呟いた彼の最後尾がうまく聞き取れなかったアオイは目を丸くして聞き返した。
「…運命とは不思議なものだ。たったひとりの存在で、それまで過ごしてきた日々さえも薔薇色に変えてしまうのだから」
「…セシエル様…」
優しく微笑まれ、アオイは彼の瞳から目が離せない。
「…貴方を"イイ人"と言ったのは決して…キュリオの態度を改めるためだけに言った言葉ではないんだ。実際、君を一目見たときから…私はアオイさんに惹かれている」