狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのLX
「この世界に王様はいないみたいです。皆、その日生きることに精いっぱいで、他人の手助けをする余裕もなくて…」
「…そんな物語が好きなんてお前も物好きだな」
「そ、それはこれからですっ!この先のお話がとても素晴らしくて…っ…」
「冗談だ。いちいち本気にするな。お前はやはり…子供だな。どうせ甘やかされて育てられたのだろう?」
「私こう見えて王立学園に通う生徒ですからっ!!もう子供じゃありません!それに…」
(甘やかされて育てられたって…育ててくださったのは貴方ですからっっ!!)
「…何を急に黙っている」
押し黙ったアオイに怪訝な眼差しを向けるキュリオ。
「…っえ、えーっと!?…キュリオ様にお子様がいらっしゃったら…どう育てるのかなぁ?なんて想像していまし…た…」
敢えてわかりきっている事を口にしたアオイ。まだ子供である彼にそんな話を聞くのもどうかと思うが、尋ねられて咄嗟に浮かんだのがそれだからしょうがないのだ。
「…子供?私は家族をもつつもりはない。おかしな事をいうのだなお前は」
「…え?」
迷うことなく言い切った彼にアオイは目を丸くして驚いている。
「なんだ、そんな事も知らないで城に入り込んだのか?」
「す、すみません…」
「…城に従事する者が家族を持たないのは珍しい事ではない。その生涯を己の王と民のために捧げるのだからな」
「もしかして…セシエル様もそうなんですか?」
「……」
(私に聞いておきながら…結局アオイはセシエル様の事ばかりだ)
「キュリオ様?」
きゅっと唇を真一文字に結んでしまった彼の顔を覗くと、傷ついたような表情を俯かせキュリオは声を荒げて言葉を発した。
「…そういう事はお前がセシエル様にお聞きすればいいだろっ!!」