狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのLXⅢ
「…え…?」
アオイはあまりにも予想していなかった彼の言葉に目の前が真っ暗になる。平和に見えるこの世界、争い事があるなんて思ってもみなかったが…それが王と民の戦いなどと、ますます考えられなかったからだ。
「一国を統治する王の重圧は相当なものだ。しかし、それを軽んじる者がいれば王の座を狙い、自ら国を治める支配者として名乗りをあげる輩が出てもおかしくはない」
優しいセシエルの表情が険しく、鋭く歪められていく。
「そ、そんな…王様って誰でもなれるわけではないはずなのに…」
彼の表情を見るからにそれが冗談ではないことがわかる。だからこそアオイは恐怖に身を震わせた。
(世界の均衡を司る王様を手に架けようとする人がいるなんて…そんなひどいこと…っ…)
「…っまさかセシエル様…も…?」
無意識に立ち上がり、彼の袖を懸命に握りしめたアオイ。
(こんなに優しい人が傷ついて良いわけがないっ…そんな考え間違ってるっ!!)
己の人生すべてをかけて愛する国と民を一心に思い続けた王に、そのような仕打ちが待ち受けているとしたら…
(…王様はただの犠牲者…)
「……」
アオイの心の中で何かが壊れる音がした。
(…お父様…も…?)
セシエルの袖を握る腕がダラリと下がる。
すると、その手を彼が優しく力強く握りしめた。
「…そうならないための力さ。ただ能力が高いだけのレベルでは簡単に王の座を明け渡してしまうだろう。だからこそ他者を寄せ付けないほどの圧倒的な力を持つ必要があるんだ」
「…セシエル様もキュリオ様も…絶対に…嫌です。…お願いですからっ!…絶対に死なないで…っ…」
ポロポロと零れ落ちる涙もそのままに、アオイは懇願するようにセシエルへとしがみ付いた。
アオイはあまりにも予想していなかった彼の言葉に目の前が真っ暗になる。平和に見えるこの世界、争い事があるなんて思ってもみなかったが…それが王と民の戦いなどと、ますます考えられなかったからだ。
「一国を統治する王の重圧は相当なものだ。しかし、それを軽んじる者がいれば王の座を狙い、自ら国を治める支配者として名乗りをあげる輩が出てもおかしくはない」
優しいセシエルの表情が険しく、鋭く歪められていく。
「そ、そんな…王様って誰でもなれるわけではないはずなのに…」
彼の表情を見るからにそれが冗談ではないことがわかる。だからこそアオイは恐怖に身を震わせた。
(世界の均衡を司る王様を手に架けようとする人がいるなんて…そんなひどいこと…っ…)
「…っまさかセシエル様…も…?」
無意識に立ち上がり、彼の袖を懸命に握りしめたアオイ。
(こんなに優しい人が傷ついて良いわけがないっ…そんな考え間違ってるっ!!)
己の人生すべてをかけて愛する国と民を一心に思い続けた王に、そのような仕打ちが待ち受けているとしたら…
(…王様はただの犠牲者…)
「……」
アオイの心の中で何かが壊れる音がした。
(…お父様…も…?)
セシエルの袖を握る腕がダラリと下がる。
すると、その手を彼が優しく力強く握りしめた。
「…そうならないための力さ。ただ能力が高いだけのレベルでは簡単に王の座を明け渡してしまうだろう。だからこそ他者を寄せ付けないほどの圧倒的な力を持つ必要があるんだ」
「…セシエル様もキュリオ様も…絶対に…嫌です。…お願いですからっ!…絶対に死なないで…っ…」
ポロポロと零れ落ちる涙もそのままに、アオイは懇願するようにセシエルへとしがみ付いた。