狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのLXXⅡ
キュリオから期待に満ちた瞳で見つめられた少女は誤魔化すように微笑んで見せる。
そして…彼の手に握られた魔導書を目にし、あっという間に表情を曇らせてしまったアオイは拳を強く握りしめ…
「…そんなに頑張ってお勉強ならさなくても…いいんじゃないでしょうか」
なぜかアオイの声は震えている。
「…こ、これはっ…!…っべつに勉強していたわけではない…っ!」
アオイの視界に入らぬよう、キュリオは慌てて魔導書を背に隠し持った。
「…他に何かやりたいことはないのですか?」
「なに…?」
「美的感覚に優れたキュリオ様なんですもの…芸術家でもよろしいじゃないですか!!」
急に声を荒立て、まるで怒りをぶつけてくる彼女に戸惑いを隠せぬキュリオ。
(こいつは一体何を見てそんなこと…)
まるで今まで彼を見続けてきたかのようなアオイの口ぶり。そして興奮気味の華凜な少女を刺激せぬよう、言葉を選びながら話を進めるキュリオ。
「何をいきなり…芸術を笑うつもりはないが、私は魔術や剣術でセシエル様のお役に立てるほうが…」
「…それならっ…」
「私がセシエル様をお助けします!キュリオ様はどうか…っ…」
焦る気持ちばかりが先走り、言いたいことがうまく伝わらない。
悔しさにきゅっと唇を結んだアオイが縋るような瞳で懇願してくる。
すると…突如二人の間を駆け抜けた強めの風が、荒れた彼女の心を映す波風のようにキュリオの心をざわつかせる。
「…なぜそんなにも私の行先が気になる…理由があるのなら話してみる気はないか?」
アオイの顔を見上げている小さなキュリオだが、その曇りなく深い空色の瞳からは自分とは明らかな器の違いを感じる。そしてあたりを見回した彼は、アオイを従えて少し離れた東屋を目指して歩みを進めたのだった―――。
そして…彼の手に握られた魔導書を目にし、あっという間に表情を曇らせてしまったアオイは拳を強く握りしめ…
「…そんなに頑張ってお勉強ならさなくても…いいんじゃないでしょうか」
なぜかアオイの声は震えている。
「…こ、これはっ…!…っべつに勉強していたわけではない…っ!」
アオイの視界に入らぬよう、キュリオは慌てて魔導書を背に隠し持った。
「…他に何かやりたいことはないのですか?」
「なに…?」
「美的感覚に優れたキュリオ様なんですもの…芸術家でもよろしいじゃないですか!!」
急に声を荒立て、まるで怒りをぶつけてくる彼女に戸惑いを隠せぬキュリオ。
(こいつは一体何を見てそんなこと…)
まるで今まで彼を見続けてきたかのようなアオイの口ぶり。そして興奮気味の華凜な少女を刺激せぬよう、言葉を選びながら話を進めるキュリオ。
「何をいきなり…芸術を笑うつもりはないが、私は魔術や剣術でセシエル様のお役に立てるほうが…」
「…それならっ…」
「私がセシエル様をお助けします!キュリオ様はどうか…っ…」
焦る気持ちばかりが先走り、言いたいことがうまく伝わらない。
悔しさにきゅっと唇を結んだアオイが縋るような瞳で懇願してくる。
すると…突如二人の間を駆け抜けた強めの風が、荒れた彼女の心を映す波風のようにキュリオの心をざわつかせる。
「…なぜそんなにも私の行先が気になる…理由があるのなら話してみる気はないか?」
アオイの顔を見上げている小さなキュリオだが、その曇りなく深い空色の瞳からは自分とは明らかな器の違いを感じる。そしてあたりを見回した彼は、アオイを従えて少し離れた東屋を目指して歩みを進めたのだった―――。