狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅵ―ⅵ 怯え
(本当の親子のよう…か)
思わずペンを止めたキュリオは女官の言葉に耳を傾けながらも相変わらず愛らしい彼女を見つめている。
「恐れながらキュリオ様、もし赤子がヴァンパイアだったらどうなさるおつもりですか…?」
「…どういう意味だ」
大臣の控えめな発言にキュリオは不機嫌さを含んだ鋭い視線を投げつけた。
「彼らは人の血を好むと言われております。もし人を襲うようなことがあればキュリオ様が危険にさらされるのでは…」
大臣が優しいキュリオを心配している理由もそこだった。
油断している彼の首元に噛みつき、命さえ落としてしまう可能性さえあるのではないかと不安なのだ。