狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのLXXXⅣ
「いや…お前のせいではないよ。そして…キュリオ、これは覚えておいて欲しい」
「は、い…」
聞くのが怖い…。セシエル様の瞳がまともに…見れない。彼の本気が…私を押し潰す―――。
「…敵はあまりにも強大だ。今の私ではもちろん歯が立たないほどに…ね。しかし…」
「お前が彼女と出会う頃、必ず力を貸してくれる王が傍にいるはずだ」
「それはどなたですか!?今すでにその方は王なのですか!?」
「もちろんさ…彼は強い。やがて私の遥か上をいく王になるだろう」
「そんなに強い方が…?私には信じられません…セシエル様を超える王が現れるなんて…」
「ふふっ、それはありがとうと言うべきかな?」
一瞬、空気が和んだと思ったが…すぐにセシエルの目付きが変わる。
「…雷の王には気をつけなさい…<雷帝>が攻撃に特化した能力を持っていることは知っているね?」
「はい、たしか神具は槍…」
「その通り。創世記のヴァンパイア…<紅蓮の王>がどれだけの民を殺したか…それに匹敵する数を葬ってきたのが<雷帝>だということを忘れてはならない」
「で、ですが…<革命の王>の誕生によって、雷の国の争いは収束を迎えたのではなかったのですか…?」
「その戦いは…ね」
「―――本当に大切な者が存在している場合、時として人は残酷になれる。その者の幸せを願うばかりに、他を思いやる心が欠けてしまうんだよ…」
「アオイさんもそうだっただろう?
お前の自由を願うばかりに…悠久の民の事が見えなくなっていた。私はアオイさんにキュリオが王になることを拒んだ場合の話はすでにしていたんだ。…それでも彼女は君を選んでいる…」
「あ…」
『…そんなに頑張ってお勉強ならさなくても…いいんじゃないでしょうか』
『…他に何かやりたいことはないのですか?』
『美的感覚に優れたキュリオ様なんですもの…芸術家でもよろしいじゃないですか!!』
ひどく感情的になっていたアオイを思い出し、彼女が抱えていた痛みが自分を思うものだと知ったキュリオの胸に、言い知れぬ熱いものが込み上げてくる。
(あんなになってまで私を引き留めようとしたのは…やはり彼女が未来から来た証…。そしてすべて…私の、ため…)
「は、い…」
聞くのが怖い…。セシエル様の瞳がまともに…見れない。彼の本気が…私を押し潰す―――。
「…敵はあまりにも強大だ。今の私ではもちろん歯が立たないほどに…ね。しかし…」
「お前が彼女と出会う頃、必ず力を貸してくれる王が傍にいるはずだ」
「それはどなたですか!?今すでにその方は王なのですか!?」
「もちろんさ…彼は強い。やがて私の遥か上をいく王になるだろう」
「そんなに強い方が…?私には信じられません…セシエル様を超える王が現れるなんて…」
「ふふっ、それはありがとうと言うべきかな?」
一瞬、空気が和んだと思ったが…すぐにセシエルの目付きが変わる。
「…雷の王には気をつけなさい…<雷帝>が攻撃に特化した能力を持っていることは知っているね?」
「はい、たしか神具は槍…」
「その通り。創世記のヴァンパイア…<紅蓮の王>がどれだけの民を殺したか…それに匹敵する数を葬ってきたのが<雷帝>だということを忘れてはならない」
「で、ですが…<革命の王>の誕生によって、雷の国の争いは収束を迎えたのではなかったのですか…?」
「その戦いは…ね」
「―――本当に大切な者が存在している場合、時として人は残酷になれる。その者の幸せを願うばかりに、他を思いやる心が欠けてしまうんだよ…」
「アオイさんもそうだっただろう?
お前の自由を願うばかりに…悠久の民の事が見えなくなっていた。私はアオイさんにキュリオが王になることを拒んだ場合の話はすでにしていたんだ。…それでも彼女は君を選んでいる…」
「あ…」
『…そんなに頑張ってお勉強ならさなくても…いいんじゃないでしょうか』
『…他に何かやりたいことはないのですか?』
『美的感覚に優れたキュリオ様なんですもの…芸術家でもよろしいじゃないですか!!』
ひどく感情的になっていたアオイを思い出し、彼女が抱えていた痛みが自分を思うものだと知ったキュリオの胸に、言い知れぬ熱いものが込み上げてくる。
(あんなになってまで私を引き留めようとしたのは…やはり彼女が未来から来た証…。そしてすべて…私の、ため…)