狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
その5
「おーおーおーおーっ!今日も健在だねぇ!アラン先生のアオイらぶっぷりは!!」
ミキは口いっぱいにからあげを頬張り、ドラマの一場面かのようなこのシーンに胸をときめかせている。
「ほんと。なんでアオイなわけ?ちょっと可愛いからってアラン先生が気に入る理由がわからないわ」
「裏で気を引くようなことしてるんじゃないの?」
もはや僻(ひが)みにしか聞こえない生徒たちの戯言だが、そんな事でアランの行動を妨害することなど不可能だ。
そしてまた始まった…とばかりに肩を竦ませているミキ。
「いい加減気づかないもんかねぇ…どう考えたってあたしらはあの子の"ついで"なのにさー。…あ、タマゴサンドおいしそう!これもいっただきーっ♪」
まだ色気より食い気が勝っている彼女にはしばらく春は来そうもない。
しかし、副担任のアランと担任教師に挟まれているアオイもそのはずなのだが…
「…どうかしましたか、アラン先生…」
手を払われた彼は驚きに一歩退き、アランを見つめるその瞳には動揺の色がみてとれる。
「いいえ…どうもしませんよ?ただ私は…」
「温室で育てた大切な薔薇(ばら)を…私以外の者に愛でられるのが嫌いなだけです」
「お、温室…薔薇…?って…」
頭の上に"?"を浮かべた担任などお構いなしに、アランはアオイへと向き直り微笑みかける。
「…アオイにはまだその身を守る棘(とげ)がない。しかし、その優しさ故に棘が出せぬというのなら…」
「君を温室から出すわけにはいかないんだ…言っている意味がわかるね?」
アランの白い指がアオイの前髪をさらりと撫でる。
「アラン先生…」
口調は穏やかだが、有無を言わせないアランの鋭い視線はまるでアオイを縛る茨(いばら)の鎖のようだ。
彼のいう温室…すなわちこれは悠久の城、もしくはキュリオの腕の中を意味する。
瞬時にそう理解したアオイは…
「それなら…アラン先生が歩く温室になってくだされば、私も助かります」
ミキは口いっぱいにからあげを頬張り、ドラマの一場面かのようなこのシーンに胸をときめかせている。
「ほんと。なんでアオイなわけ?ちょっと可愛いからってアラン先生が気に入る理由がわからないわ」
「裏で気を引くようなことしてるんじゃないの?」
もはや僻(ひが)みにしか聞こえない生徒たちの戯言だが、そんな事でアランの行動を妨害することなど不可能だ。
そしてまた始まった…とばかりに肩を竦ませているミキ。
「いい加減気づかないもんかねぇ…どう考えたってあたしらはあの子の"ついで"なのにさー。…あ、タマゴサンドおいしそう!これもいっただきーっ♪」
まだ色気より食い気が勝っている彼女にはしばらく春は来そうもない。
しかし、副担任のアランと担任教師に挟まれているアオイもそのはずなのだが…
「…どうかしましたか、アラン先生…」
手を払われた彼は驚きに一歩退き、アランを見つめるその瞳には動揺の色がみてとれる。
「いいえ…どうもしませんよ?ただ私は…」
「温室で育てた大切な薔薇(ばら)を…私以外の者に愛でられるのが嫌いなだけです」
「お、温室…薔薇…?って…」
頭の上に"?"を浮かべた担任などお構いなしに、アランはアオイへと向き直り微笑みかける。
「…アオイにはまだその身を守る棘(とげ)がない。しかし、その優しさ故に棘が出せぬというのなら…」
「君を温室から出すわけにはいかないんだ…言っている意味がわかるね?」
アランの白い指がアオイの前髪をさらりと撫でる。
「アラン先生…」
口調は穏やかだが、有無を言わせないアランの鋭い視線はまるでアオイを縛る茨(いばら)の鎖のようだ。
彼のいう温室…すなわちこれは悠久の城、もしくはキュリオの腕の中を意味する。
瞬時にそう理解したアオイは…
「それなら…アラン先生が歩く温室になってくだされば、私も助かります」