狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
その15
そして光弾の打ち上げ時間や魔導師たちがそれぞれ担当する配置を確認しているアレス。
「屋上に4人、グラウンドに6人…立ち位置は…」
屋上を歩きながら辺りを見回してみる。
「四方からの視覚を考慮するのならば、列になるのは良くないか…」
彼が改めて学園の立地を確認していると、どこからともなく声が響いた。
「…さすがは天才魔導師・アレス殿」
「……え?」
いつからそこにいたのだろう。
和の装いに、高く髪を結った綺麗な男が真後ろに立っていた。
「…どちら様ですか?」
口調は冷静を保ちつつもアレスは焦っていた。
(この男の気配…気づかなかった。私がここに来た時には誰もいなかったはず…)
しかし、その男はアレスの質問に答えず言葉をつづける。
「夢を構成する人物ではない貴方が…なぜその記憶に私の存在を留めているのか不思議でなりません」
「…夢…?一体なんの話をしておられる?」
怪訝な表情を浮かべたアレスの背筋を嫌な汗が流れた。
まったく以てそれは自分の意志ではなく、明らかに一度経験したトラウマや苦手意識から来るものだろうと推測できた。
(この感覚は…私は彼に何を感じているんだ?)
「…城にまで乗り込んできた"あの男"のことが思い出せませんか?」
「…なに…?」
じわじわとにじり寄る彼にアレスの鼓動は速くなっていく。
(そうだ…思い出せ…っ!!やつは危険な人物だったはずだっ!!)
「…くっ…」
考えを巡らせるが、尚も辿りつかない記憶に苛立ちながらアレスは強く唇を噛みしめている。
「…無理に思い出す必要はないのですよ?夢で死を迎えた者がどうなるか…私も気になっていたところですから」
「屋上に4人、グラウンドに6人…立ち位置は…」
屋上を歩きながら辺りを見回してみる。
「四方からの視覚を考慮するのならば、列になるのは良くないか…」
彼が改めて学園の立地を確認していると、どこからともなく声が響いた。
「…さすがは天才魔導師・アレス殿」
「……え?」
いつからそこにいたのだろう。
和の装いに、高く髪を結った綺麗な男が真後ろに立っていた。
「…どちら様ですか?」
口調は冷静を保ちつつもアレスは焦っていた。
(この男の気配…気づかなかった。私がここに来た時には誰もいなかったはず…)
しかし、その男はアレスの質問に答えず言葉をつづける。
「夢を構成する人物ではない貴方が…なぜその記憶に私の存在を留めているのか不思議でなりません」
「…夢…?一体なんの話をしておられる?」
怪訝な表情を浮かべたアレスの背筋を嫌な汗が流れた。
まったく以てそれは自分の意志ではなく、明らかに一度経験したトラウマや苦手意識から来るものだろうと推測できた。
(この感覚は…私は彼に何を感じているんだ?)
「…城にまで乗り込んできた"あの男"のことが思い出せませんか?」
「…なに…?」
じわじわとにじり寄る彼にアレスの鼓動は速くなっていく。
(そうだ…思い出せ…っ!!やつは危険な人物だったはずだっ!!)
「…くっ…」
考えを巡らせるが、尚も辿りつかない記憶に苛立ちながらアレスは強く唇を噛みしめている。
「…無理に思い出す必要はないのですよ?夢で死を迎えた者がどうなるか…私も気になっていたところですから」