狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
その18
「……」
右手を振り上げていた男は少年の姿をその視界に捉えて冷やかな視線を向ける。
「あ、れ…?」
少年はパチクリと瞬きし、小首を傾げて二人をみやっている。
(ま、まずい…っ!なぜこんな時に子供が…!!)
震える己を叱咤し、拳に力を込めたアレスは懸命に平静を装った。
「君…ど、どうしたの…かな?
学園祭の一般公開日、は…3日後じゃ…」
すると、少年の後方から大きな人影が映り込む。
「…うちの子がお邪魔してしまったかな?申し訳なかったね」
「あ、お父さま…っ!」
ピョーンと大きな影に抱き着いた少年があまりにも子供らしく可愛い。
そして光の具合で後ろの彼の顔がよく見えないアレスたち。
「い、いいえ…」
取り敢えず言葉を返したアレスだったが、早く彼らを退席させるために、もう一度口を開いた。
「…も、申し訳ありません。一般公開日はまだなのですが…」
「……」
すると、少年の頭を撫でていた影が動き、歩みを進めているのだと気付く。
「幸い…妻がこの学園の卒業生なんだ。学園祭では卒業した者が家族にいれば、早いうちから参加出来ると聞いていたからね…」
「このとおり、息子も大はしゃぎで前夜祭が待てずに来てしまったんだ。妻を見つけたら一度失礼するよ…」
にこりと美しい笑みを浮かべた"父親"の視線が一瞬…ゾクリとするような鋭い目付きに変わった。
「お父さまおかしいねぇ、たしかにこっちからお母さまの気配を感じたとおもったのにさー」
彼の長い裾を小さな手で引く息子へと、"どうしてだろうね?"と短く答えている"父親"。
「じゃあ次ーっ!」
「…あぁ、次に行こうか」
と元気に階段を降りていく少年だったが…"父親"は足を止めたままこちらを凝視している。
「…子供をひとりにしてよろしいのですか?」
邪魔をされた和の装いの男が嫌味を含んだ言葉をぶつける。
すると…
「…この夢は私も気に入っているんだ。もし君たちがどうしても大人しくしていられないのであれば…」
「遠慮なく二人とも排除させてもらうよ」
右手を振り上げていた男は少年の姿をその視界に捉えて冷やかな視線を向ける。
「あ、れ…?」
少年はパチクリと瞬きし、小首を傾げて二人をみやっている。
(ま、まずい…っ!なぜこんな時に子供が…!!)
震える己を叱咤し、拳に力を込めたアレスは懸命に平静を装った。
「君…ど、どうしたの…かな?
学園祭の一般公開日、は…3日後じゃ…」
すると、少年の後方から大きな人影が映り込む。
「…うちの子がお邪魔してしまったかな?申し訳なかったね」
「あ、お父さま…っ!」
ピョーンと大きな影に抱き着いた少年があまりにも子供らしく可愛い。
そして光の具合で後ろの彼の顔がよく見えないアレスたち。
「い、いいえ…」
取り敢えず言葉を返したアレスだったが、早く彼らを退席させるために、もう一度口を開いた。
「…も、申し訳ありません。一般公開日はまだなのですが…」
「……」
すると、少年の頭を撫でていた影が動き、歩みを進めているのだと気付く。
「幸い…妻がこの学園の卒業生なんだ。学園祭では卒業した者が家族にいれば、早いうちから参加出来ると聞いていたからね…」
「このとおり、息子も大はしゃぎで前夜祭が待てずに来てしまったんだ。妻を見つけたら一度失礼するよ…」
にこりと美しい笑みを浮かべた"父親"の視線が一瞬…ゾクリとするような鋭い目付きに変わった。
「お父さまおかしいねぇ、たしかにこっちからお母さまの気配を感じたとおもったのにさー」
彼の長い裾を小さな手で引く息子へと、"どうしてだろうね?"と短く答えている"父親"。
「じゃあ次ーっ!」
「…あぁ、次に行こうか」
と元気に階段を降りていく少年だったが…"父親"は足を止めたままこちらを凝視している。
「…子供をひとりにしてよろしいのですか?」
邪魔をされた和の装いの男が嫌味を含んだ言葉をぶつける。
すると…
「…この夢は私も気に入っているんだ。もし君たちがどうしても大人しくしていられないのであれば…」
「遠慮なく二人とも排除させてもらうよ」