狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅶ 四大国への協力依頼
「だが、ヴァンパイアではないとわかったとしてもあの国にも通達は出す。有力な情報が得られるかもしれないからな」
幼子をもう一度ソファに座らせキュリオは白机と向かい、書きかけの手紙へとペンを走らせる。そしてあっというまに書き上げると最後に彼のサインを添え、綺麗に封筒にしまっていった。
それぞれ各国の王の名を記した綺麗な封筒が4つ並べられる。
ペンを置いたキュリオは、ふと考えるように腕組みをした。
(問題は誰に頼むか、だな。
私が行ってもよいが…それでは大事(おおごと)になってしまうか)
今は国同士のいざこざや話し合いの必要があるような場面でもなく、身元調査で王が動くなど普通はありえないのだ。
「ふむ…」
すると…一瞬の間を置いて執務室の扉にノックがかかる。
「入れ」
『失礼いたしますぞ』
(この声は…)
年老いた落ち着きのある声にキュリオは聞き覚えがあった。
そして扉へと視線をうつした彼は見慣れた人物と、その後ろに控える小さな少年の姿を視界にとらえる。
「ふぉっふぉっふぉ、朝食もとらずに執務室に籠られるとは…流石は我らが王ですのぉ」