狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
その43
「…アレス、君は急いで中庭に行くんだ。そこにアオイとカイがいる。二人と合流してなるべく学園から離れろ」
下の階へと続く扉の前にいるアレスへとキュリオが振り返り、命じる。
「か、かしこまりました…。しかし生徒たちは…」
彼が戸惑うのも無理はない。アレスはこれがセシエルの作り出した"夢"だと知らないからだ。
「事情を説明している暇はない。だが、君が心配するような事にはならないと約束しよう」
(…キュリオ様が民をお見捨てになるはずがない…そして何より私は…キュリオ様を信じ、この御方の命を速やかに実行すること…)
静かに頷いたアレス。
「はっ!ただちに姫様とカイを連れ、学園を離れます!!」
「…あぁ、頼むぞ」
キュリオの言葉を背に受けたアレスは勢いよく階段を駆け下りていく。
暗がりの中をひたすらに下ろうとするが…
(いまは階段を行くのも時間が惜しい…窓から飛び降りたほうが速い…っ!)
踊り場で向きを変えたアレスは三階の廊下へと飛び出し、大量にガラスが割れた人気(ひとけ)のない通路を駆け抜けていく。
「アオイ様…カイ、どこに…っ…」
破片を踏み鳴らしながら窓の外を見渡すアレス。
すると…
「…カイ?」
足を引きずりながら建物内へと向かう彼の姿から負傷していることは明らかだった。
窓から身を乗り出し、アレスは大声で叫んだ。
「カイ!今そっちに行く!!その場を動くなっ!!」
頭上から降り注いだ馴染のある魔導師の声に、はっとしたカイが顔を上げる。
「…アレス!」
下の階へと続く扉の前にいるアレスへとキュリオが振り返り、命じる。
「か、かしこまりました…。しかし生徒たちは…」
彼が戸惑うのも無理はない。アレスはこれがセシエルの作り出した"夢"だと知らないからだ。
「事情を説明している暇はない。だが、君が心配するような事にはならないと約束しよう」
(…キュリオ様が民をお見捨てになるはずがない…そして何より私は…キュリオ様を信じ、この御方の命を速やかに実行すること…)
静かに頷いたアレス。
「はっ!ただちに姫様とカイを連れ、学園を離れます!!」
「…あぁ、頼むぞ」
キュリオの言葉を背に受けたアレスは勢いよく階段を駆け下りていく。
暗がりの中をひたすらに下ろうとするが…
(いまは階段を行くのも時間が惜しい…窓から飛び降りたほうが速い…っ!)
踊り場で向きを変えたアレスは三階の廊下へと飛び出し、大量にガラスが割れた人気(ひとけ)のない通路を駆け抜けていく。
「アオイ様…カイ、どこに…っ…」
破片を踏み鳴らしながら窓の外を見渡すアレス。
すると…
「…カイ?」
足を引きずりながら建物内へと向かう彼の姿から負傷していることは明らかだった。
窓から身を乗り出し、アレスは大声で叫んだ。
「カイ!今そっちに行く!!その場を動くなっ!!」
頭上から降り注いだ馴染のある魔導師の声に、はっとしたカイが顔を上げる。
「…アレス!」