狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
その46
『―――殺すッッッ!!!―――』
ダッと踏み込んだセンスイの足元が激しく抉(えぐ)られ、彼の力が段違いな程に上昇しているのは一目瞭然だった。
一瞬の間にエデンとの距離を詰め…ギラリと光る瞳が彼を縛り付けると…
舞うように二人の間に現れたセシエル。
『…ク…ッ…!』
金と銀の光に包まれた彼の神剣が目にも留まらぬ速さでセンスイの頬を切り裂いた―――。
飛び散った花びらのような赤い血。
咄嗟に顔を傾けたセンスイは狙いをエデンからセシエルと変え、憎悪を滾(たぎ)らせながら手に握りしめたそれで神剣を薙ぎ払う。
「……」
金属音が激しく鳴り響く中、セシエルはセンスイの持つ光の塊を無言のままじっと見つめている。
そして形の良い唇がわずかに開き…
「…少し君に聞きたいことがあったのだけど…もう言葉も通じないみたいだね」
『…邪魔する者は全て…ッ殺すッッ!!!』
センスイを纏う輝きが一層強くなり、彼の渾身の一撃にセシエルの神剣が悲鳴を上げた気がした―――…