狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

その51

―――王の力に対抗できるのは王の力だけ―――



キュリオは学園にある茶室での出来事を思い出した。

嫉妬心をあらわにしたキュリオがたまらずセンスイに噛みつき、その後…全員の記憶を戻したにも関わらず…


"私のこの淡い想いごと…また記憶を戻してみたらどうです?"


後に現れたセンスイの発言から奴には効果がなかったのだと知った。


"…おや?私が術を受けていないのが、そんなに不思議な事でしたか?"


余裕さえ感じるセンスイの表情に嫌な予感を覚える。

神剣を召喚し、王であるか否かを確かめようとしたキュリオの前にクジョウという青年が現れ…


彼が王かどうかの判断は出来なかった。


しかし今、悠久の王の結界が奴の手により破られた。

そして新たに現れたヤマトというカタナを持つ青年。



"…昔、そうやって意気がっていた王のひとりが俺たちに倒された事…覚えておくんだな"



(…俺たち…?この三人で一人の王と沈めたとしても…奴らが相当な力量であることは間違いない)


(あとはその王がどれほどの力を持っていたかにもよるが…)


いくつかの条件が出揃う中、目の前で膝を付き…苦痛に顔を歪ませるセンスイが王である可能性はやはり濃厚だ。


暗雲立ち込める空を見渡したキュリオの視界にいくつもの巨大な渦映し出される。夜空を覆い尽くしたそれらはあたりを巻き込みながら空間を丸飲みにしようとしていた―――。


< 681 / 871 >

この作品をシェア

pagetop