狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
その55
「セシエル様…アオイが奴の記憶を留めているということは……」
「あぁ…恐らくあれはアオイさんの実体。すまない…この作戦は失敗だ。彼女を巻き込むわけにはいかないからね…」
「ねぇお父さま、お母さまの友達が怪我してるんだってさ。助けにいってあげよう?」
セシエルの衣の裾を引く少年。
するとセシエルは…
「あとでお父さまが治しに行くよ。お母さまを探してきてくれてありがとう」
「ううんっ!!」
頭を撫でられ、照れたように笑う少年。
するとキュリオを振り返ったセシエル。
「あの男の目を見なさい。もう戦意は失われている」
神剣の召喚を解除したセシエルの手元から光が溢れた。
「このままで良いとは言えないが、あの男にとっても彼女は特別な存在らしい。アオイさんに危害を加えることはないはずだ」
「……」
無言のまま寄り添う二人を見つめているキュリオ。
「お母さまが男の人と仲良くしてるよ…?いいの!?お父さま!!」
口を尖らせた少年。彼はそう言って父親に声を上げたが、どう見ても彼自身が嫉妬しているようにしか見えない。
「そうだね。そろそろご勘弁頂こうか…キュリオ」
「…は…、…」
「そうだよっ!!はやくはやくっ!!」
キュリオの"はい"は言葉にならなかった。
それより早く少年が頷いてしまったからである。
と、会話を聞いていたキュリオが目を丸くして問いかけた。
「セシエル様、今なんと…?」
「あぁ、これは私の夢だ。可愛い息子はお前、そしてこの子の母親…つまり私の妻はアオイさんだ」
(…これがセシエル様が望んだ未来の姿…)
「……」
無欲の彼が唯一望んだ愛がここにある。
それはキュリオとて同じ…常に彼女の隣にいることを許された理想の世界でもあった―――。
「あぁ…恐らくあれはアオイさんの実体。すまない…この作戦は失敗だ。彼女を巻き込むわけにはいかないからね…」
「ねぇお父さま、お母さまの友達が怪我してるんだってさ。助けにいってあげよう?」
セシエルの衣の裾を引く少年。
するとセシエルは…
「あとでお父さまが治しに行くよ。お母さまを探してきてくれてありがとう」
「ううんっ!!」
頭を撫でられ、照れたように笑う少年。
するとキュリオを振り返ったセシエル。
「あの男の目を見なさい。もう戦意は失われている」
神剣の召喚を解除したセシエルの手元から光が溢れた。
「このままで良いとは言えないが、あの男にとっても彼女は特別な存在らしい。アオイさんに危害を加えることはないはずだ」
「……」
無言のまま寄り添う二人を見つめているキュリオ。
「お母さまが男の人と仲良くしてるよ…?いいの!?お父さま!!」
口を尖らせた少年。彼はそう言って父親に声を上げたが、どう見ても彼自身が嫉妬しているようにしか見えない。
「そうだね。そろそろご勘弁頂こうか…キュリオ」
「…は…、…」
「そうだよっ!!はやくはやくっ!!」
キュリオの"はい"は言葉にならなかった。
それより早く少年が頷いてしまったからである。
と、会話を聞いていたキュリオが目を丸くして問いかけた。
「セシエル様、今なんと…?」
「あぁ、これは私の夢だ。可愛い息子はお前、そしてこの子の母親…つまり私の妻はアオイさんだ」
(…これがセシエル様が望んだ未来の姿…)
「……」
無欲の彼が唯一望んだ愛がここにある。
それはキュリオとて同じ…常に彼女の隣にいることを許された理想の世界でもあった―――。