狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅶ―ⅱ 大魔導師・ガーラント
「彼女らの話はしないでくれ。あれは些(いささ)か苦手な部類なんだ」
「おやおや…彼女たちが聞いたら泣いてしまいますぞ?
しかし、儂も苦手ですがなぁ」
ははっと笑いあう二人の和んだ空気に、ガーラントの後ろにいた少年がほっと息をついた。そして…並みならぬオーラをまとった美しい王が大事に抱いている赤ん坊と目が合うと、気が付いた彼女は頭をもたげて、じっとこちらに見入っている。
「…ん?」
すると幼い二人の視線に気が付いたキュリオは、少年に目線を合わせるように屈(かが)み口を開いた。
「その格好は魔導師かな?」
絶世の美を誇るキュリオの顔がせまると、少年は緊張気味に背筋を伸ばした。