狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
その60
「…入るぞ」
ドアノブにまで装飾が施されたこの部屋はセシエルの私室と同じ階にある。
普段、王のプライベート空間とも言われるこの最上階でアオイが寝泊りを許されていることから、それだけ彼女がセシエルの大事な女性なのだとわかる。
キィ…と重厚な扉が音をたてて開く。
アオイは眠っているのだと思い込んでいたキュリオはベッドの淵まで近づいて行った。
「おいアオイ、そろそろ起き…」
もちろん彼女はベッドの中、シーツに包まれて体を横たえていたのだが…
「おと…さま……」
焦点の合わない視線をこちらに向けながら息苦しそうに声を発したアオイ。
「…?どうした、具合でも…」
「……」
数回瞬きしたアオイはおずおずと手を伸ばし…キュリオの袖を力なく掴んだ。
「…アオイ?」
ぐったりとしたその様子に不安を覚えたキュリオは、わずかに重みの増した袖の手を包むように握りしめた。
「…っ…」
はっとしたキュリオは改めてアオイの顔を覗きこみ、細い指先で彼女の頬を撫でる。
「なぜこんなに冷たく…」
蒼白いアオイの顔にはまるで血の気がなく…触れた指先からは氷のような冷たさが伝わってきた。
「…少し待っていられるか?すぐセシエル様を呼んできてやる!!」
握られた袖からアオイの手を離し、これ以上体が冷えないようにとシーツの中に腕ごとしまってやる。
急いで扉へと引き返したキュリオだが…わずかな間、アオイから目を離すのさえ後ろ髪を引かれる思いだ。
(…未来の娘だと言われたせいか?こんなにも私は…っ…)
ドアノブにまで装飾が施されたこの部屋はセシエルの私室と同じ階にある。
普段、王のプライベート空間とも言われるこの最上階でアオイが寝泊りを許されていることから、それだけ彼女がセシエルの大事な女性なのだとわかる。
キィ…と重厚な扉が音をたてて開く。
アオイは眠っているのだと思い込んでいたキュリオはベッドの淵まで近づいて行った。
「おいアオイ、そろそろ起き…」
もちろん彼女はベッドの中、シーツに包まれて体を横たえていたのだが…
「おと…さま……」
焦点の合わない視線をこちらに向けながら息苦しそうに声を発したアオイ。
「…?どうした、具合でも…」
「……」
数回瞬きしたアオイはおずおずと手を伸ばし…キュリオの袖を力なく掴んだ。
「…アオイ?」
ぐったりとしたその様子に不安を覚えたキュリオは、わずかに重みの増した袖の手を包むように握りしめた。
「…っ…」
はっとしたキュリオは改めてアオイの顔を覗きこみ、細い指先で彼女の頬を撫でる。
「なぜこんなに冷たく…」
蒼白いアオイの顔にはまるで血の気がなく…触れた指先からは氷のような冷たさが伝わってきた。
「…少し待っていられるか?すぐセシエル様を呼んできてやる!!」
握られた袖からアオイの手を離し、これ以上体が冷えないようにとシーツの中に腕ごとしまってやる。
急いで扉へと引き返したキュリオだが…わずかな間、アオイから目を離すのさえ後ろ髪を引かれる思いだ。
(…未来の娘だと言われたせいか?こんなにも私は…っ…)