狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅶ―ⅲ 大魔導師・ガーラント
「は、はいっ!
私はガーラント先生のところで見習いの魔導師をやっておりますアレスと申します!」
声を上げるのは姿からしてまだ4~5歳くらいで、丈の長いローブをまとい、黒くやや長めの髪を中頃で束ねた少年だった。
「そうか、君がアレスか。彼から話は聞いていたよ、まだ小さいのに素晴らしい才能をもった子がいるってね」
「ふぉふぉふぉ、若いもんを育てるのが儂の生きがいみたいなものですじゃ!」
高らかに笑う彼が、アレスと呼ばれる少年の頭をグリグリなでると少年は怒ったように口を尖らせた。
「子供扱いするのはやめてくださいっ!先生っ!!」
するとガーラントは、
「ほ?お前が子供じゃなかったら誰を子供だと言うんじゃ?」
と、からかうように少年の頭をなでつづけた。
クスリと笑ったキュリオは、思い出したように彼らをソファに座るように促す。
「立ち話なんてすまなかったね、お茶をもってこさせよう。ミルクも温め直してくれるかい?」
「かしこまりましたっ!」
傍に控えていた女官が頷き部屋を出て行こうとする。が、気を利かせた彼女は肩身狭く立ち尽くしている大臣を睨むと、怯えた彼を引きずるようにして出て行った。